リスクにかけろ

株と金融とプログラミング

「40兆円の男たち」感想 レイ・ダリオ編2

長くなったので分割2番目

前回の記事の続き。

 

リスク管理の話

 ブリッジウォーターはリスク管理について面白い点がある。レバレッジについてである。レバレッジは2つの側面がある

・会社の資産規模

・マーケットエクスポージャー

 ブリッジウォーターは運用資金の1/4を株主資本が占めている。ヘッジファンドが適切な運用を行うには、ある程度資金の出入りを防ぐ必要がある。そのために加入制限や解約規制があるのだけれど、株主資本が多いという事は、安定的な運用ができるということである。

 また、ブリッジウォーターは分散によってリスク量を減らしているだけでなく、レバレッジを抑えている。「レバレッジを必要以上に大きくすることはロシアンルーレットのみたいなものだ」とレイ・ダリオは言っている。

 

ゼロサムと金に対する考え

 ブリッジウォーターは為替に対するヘッジとして金を保有している。元々金本位制だったため、いざとなった時に利用価値が高いという理由からである。この考えに対する別の視点はバフェットである。バフェットは金をいっさい保有していない。理由は以下のとおり。

金は非生産的なアセットだ。金は何も生むことはない。金を買う人たちは、自分が買った値段より高い値段で買ってくれる人が現れるのを待っているだけだ。
今日、世界には17万トンの金がある。現金に換算すれば9兆6000億ドルだ。この17万トンの金を選択肢Aとしよう。それでは次に、9兆6000億ドル に相当する選択肢Bを作ってみよう。先ず、米国に存在する農地を全て買うことができる。(毎年約2000億ドルの収穫がある。) 更に、毎年400億ドルの利益があるエクソン・モービル社を16社買うことができる。農地とエクソン・モービル社の購入後、現金はまだ1兆ドルほど残って いる。さて、あなたが選ぶのは選択肢Aだろうか、それともBだろうか?

http://kabukeizainani.blogspot.jp/2015/07/blog-post_22.html

というのも、これはどうやら市場がゼロサムかどうかという点で2人の間に違いがありそうだ。レイ・ダリオは市場とはどこまでいってもゼロサムであると考えていて、バフェットは企業活動は新たな勝ちを生むので株式市場はプラスサムであると考えている。この点に関しては、全く異なる理論によるアプローチなのでどっちが正解とも言えない。

 

レイ・ダリオの行動規範

・失敗から学ぶ

・自分が成長する

・瞑想が大切

・プロセスを重視し、投資決定のプロセスは全て記録する

とこんなとこ。中でもレイ・ダリオが繰り返し言ってたのは瞑想の話。瞑想といえば林檎の教祖とか、はてなのx先生とか至るところで言われているのだけれど、レイ・ダリオ先生も熱心な信者である。大学1年生の頃から毎日続けているそうな。彼の語る瞑想のメリットは以下のとおり。

・睡眠不足を補うことができる

・集中力が増す

・創造的になれる

・広い心が持てる

・成績が上がってハーバードビジネススクールにも入れる

・感情のコントロールができる

ビバ!瞑想!

 最後に気になったとこがもう一つ。自分の理想を実現したければ、小さくてもいいから現実に始めて見ることという教訓である。理想の家を建てたければ犬小屋を立てる。理想の戦略を実現したければ、小さい範囲でできることをやることである。